2005年05月24日

「泥まみれの死」沢田教一

報道写真家沢田教一の展覧会を見てきました。
ベトナム戦争のコーナーでは、まず米軍ヘリの写真が目をひきます。旧式のヘリコプターや戦車などを見ていると、それが1960年代の戦争であることが分かります。しかし上半身裸になった兵士や避難民の写真を見ていると、タイトルが「イラク 2005」であっても違和感を感じません。おそらく戦争は、その時々で様々な虚飾をまとっているのでしょう。それを脱いだ時、たとえば今この地球で行われている戦争が「正義のため」という虚飾を脱ぎ捨てたなら、そこに僕らはおよそ太古から変わることのない、戦争の本質を見るのだと思います。
「安全への逃避」もそんな写真の一枚です。
「泥まみれの死」は、沢田の文庫版のベトナム写真集です。
泥まみれの死
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関連で紹介するのは、なぜか寺山修司。沢田教一とは青森高校時代の同級生です。憶測ですが、二人はきっと仲が悪かったと思うのです。
「ロング・グッドバイ」は、寺山の文庫版詩歌選集です。
ロング・グッドバイ
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posted by 本読人 at 20:41| Comment(5) | TrackBack(0) | 画集・写真集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月20日

「集まって住む」元倉眞琴

よくコメントを寄せてくださる佐藤Kさんのブログ『まちなか生活向上委員会@三光建設計画部』の2005年4月27日の記事で知った本です。
建築を絵本という形で見せてくれる、面白い一冊です。僕は児童書のコーナーではなくて建築関係の棚で見つけたので、最初は「児童書のコーナーにおけば、子供たちが建築に興味を持つきっかけになるのに」と思いました。しかし絵本というジャンルの側に立って考えると、「児童書」という籠を飛び出して、本屋の中を自由に飛び回っているようで、別の棚にあることがちょっと嬉しかったりもしました。結局、どちらのコーナーにも置いてもらえればよいのでしょうが。
いずれにしても、本は「本屋」という籠から、早く自由にして街の中を飛ばしてあげると良いようです。野原やオープンカフェなど、お日様のあたるところで拡げたい素敵な本です。
集まって住む
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もう一冊も佐藤Kさんつながりで、『マイ ブック』の「太陽の子守歌」米岡元子へのコメント書かれていた「正しい保健体育」です。こっちはお天道様の当たらないところで読んだ方が似合うかもしれません。
みうらじゅんさんが書いたこの本、今は新刊コーナーですが今後はどのコーナーに並べられていくのでしょうか。個人的には「教科書」コーナーにあって欲しいのですが。
正しい保健体育
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posted by 本読人 at 01:28| Comment(7) | TrackBack(0) | 絵本・児童文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月14日

「古い黒カバン」芦原修二

「短説特集」いかがだったでしょうか。今回はこれが最後になります。もちろん今後も時々作品を紹介しますし、いずれまた特集もしていくつもりです。
そして締めくくるのは、短説の提唱者である芦原修二さんです。作品はいろいろあるのですが、その代表作を集録する「古い黒カバン」を紹介します。まだ集められた作品は少しですが、いずれWeb上での芦原さんの短説作品集になると思います。
カバンは「短説の会 Official Web Site」にあります。直接いく人は、以下のURLで。
「古い黒カバン」

しかし僕にとって芦原さんは、なんといっても小説なのです。「びいどろ」は、日本文学史上の名作短編の一つです。
なんで日本の文壇と出版界は気がつかないのだろうか!
短編作品集『はるひ夢幻集』に集録されています。現在絶版。2005年5月14日現在、「日本の古本屋」に在庫確認しました。
「日本の古本屋」
posted by 本読人 at 09:49| Comment(3) | TrackBack(1) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月11日

「子供のいる家」綾部有時・「とまどい」日向みなみ

子育て真っ最中の綾部有時さんの「子供のいる家」。日々の生活が書かせた作品といえるでしょう。
子供のいる家

日向みなみさんは、ホームページ「短説の世界」を開いて、自身の作品を公開しています。その中から、「とまどい」を紹介します。
とまどい

前回と今回、四者四様の作品、いかがだったでしょうか。短説はたった原稿用紙2枚ですが、確実に個性が表れるのです。
posted by 本読人 at 01:42| Comment(7) | TrackBack(0) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月08日

「トカゲ」田中睦枝・「門限」福本加代

二回にわけて、4人の女性の作品を紹介します。読み比べてみてください。
まず田中睦枝さんです。田中さんは「短説の会」の講師でもあり、いくつもの名作を書いています。ここでは特に好きな「トカゲ」を紹介します。
トカゲ

福本加代さんは、ご自身でブログ「カトレア日記 ジジババ草紙」を開いています。短説の他に短歌も発表しています。その中から、ちょっと怖い短説「門限」をお楽しみください。
門限
posted by 本読人 at 12:09| Comment(3) | TrackBack(0) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月05日

「円を描く少年」水南森

短説の定義は「原稿用紙二枚の小説」なのか、それとも「原稿用紙二枚の散文」なのか。後者を主張する作者が5月5日に短説のブログ「水南の森−短説BLOG」を始めました。「円を描く少年」はそこにアップされている作品です。
作者は、西洋的(キリスト教的)世界観で人間をとらえる「小説」に対して、日本的(禅的)世界観で「短説」を書こうとしています。そのために、すべてを見透かす神の視点はなくなり、人は景観に溶け込んでいきます。ついには「人の会話」も「鳥のさえずり」や「葉のざわめき」と同じという理由から、かぎ括弧も無くしてしまいました。
小説では不可能な「短説」の世界の一つです。
円を描く少年

作者は短説の優位性を主張しているのではなく、世界の違う二種類の散文学が日本において共存していくことを願っています。
そんな作者の過去の作品(短説・小説)はホームページ「水南の森」で読むことができます。こっちは、ちゃんとかぎ括弧がついています。
その中にホームページの共同運営者が「私短説」と名付けて、写真を撮るように描写した何作かの作品があります。旅行の思い出をアルバムに写真で残すように、短説で旅のアルバムを作った例です。
「旅の途中」
posted by 本読人 at 21:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月03日

「道程」吉田龍星・「鯉を釣る少年」道野重信

注目する短説作家の名作を、次々紹介していきます。
短説の全国組織「短説の会」は短説講師を数名選定しています。紹介する二人は、ともにその講師をつとめる作家です(先に紹介した西山正義さん、向山葉子さんも講師です)。お二人の「講師プロフィール」(『月刊短説』平成15年3月号)からコメントを抜粋しましょう。
吉田龍星さんは「自分と自分を取り巻く世界を理解し愛せるようになるために短説を書いています」
道程

道野重信さんは「執筆も会話と同じコミュニケーション」
鯉を釣る少年
posted by 本読人 at 16:33| Comment(2) | TrackBack(5) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月01日

「盆まつり」向山葉子

前の記事でも書いたとおり、向山葉子さんの作品も「西向の山」でいろいろ読むことができます。全体に作品の質が高く、コンスタントに秀作を発表している書き手です。
中でも、僕は「盆まつり」を特に素晴らしいと思います。
方言の多用は、長い小説においては読みづらさに繋がってしまいます。しかし、原稿用紙2枚の短説では、方言は作品の雰囲気作りに役立ちます。そんなことも含めて、「盆まつり」は短説ならではの作品。これ以上長くても短くても成立しない、見事な短説作品だと思います。
「盆まつり」

だからといって、僕は短説を小説よりも優れていると考えているわけではありません。両者は、たとえば詩芸術において俳句・短歌と自由詩がともに存在しているように、散文学において共存するものなのでしょう。短説も小説も、それぞれに素晴らしいものです。
そこで、向山さんの小説も紹介したいと思います。「西向の山」に向山さんの小説のコーナーがあります。URLは次の通りです。
名作「カーマイン邪色」がアップされていないのが、ちょっと残念!
http://homepage3.nifty.com/masayoko/shousetsu.htm
posted by 本読人 at 11:53| Comment(4) | TrackBack(2) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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