2005年06月27日

「ひめゆり平和祈念資料館 ガイドブック」

「沖縄の終戦記念日は8月じゃなくて、6月23日なんです」以前沖縄旅行をした時に、民謡酒場で聞いた言葉です。僕らが沖縄慰霊の日と呼んでいる日です。
古本屋などでも手に入るかもしれませんが、できることなら「ひめゆり平和祈念資料館」(沖縄県糸満市)に行って手に入れてください。
僕が忘れられない展示の一つは、6月18日の証言です。追い詰められた日本軍は最後の指令を出しました。「壕を脱出して、それぞれ自分の考えで行動しなさい」という命令。これはつまり軍隊の解散であり、この人達にとっての国家が消失した瞬間です。戦後60年がたとうとしています。
そして今、当たり前のように日本の国が口にする「自己責任」という言葉。日本という国は、国家としてどんどん希薄になっていると感じます。
ひめゆり平和祈念資料館

時代が変わっても、沖縄を考える切り口の一つであることは変わらないでしょう。大江健三郎さんの沖縄の記録です。
沖縄ノート
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posted by 本読人 at 17:43| Comment(5) | TrackBack(2) | 哲学・思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月18日

「ヴィヨンの妻」太宰治

明日6月19日は何の日でしょう? 6月の第3日曜日なので「父の日」。正解です。そして、もう一つの正解は「桜桃忌」入水自殺をした太宰治の遺体が発見された日であり、太宰の誕生日でもありました。
つまり明日は、もっともふさわしくない「父の日」なのです。それを記念して「桜桃」を紹介します。どのくらいふさわしくないかは、「斜陽」の記事の、マル葉さんのコメントをご参照ください。
新潮文庫だと『ヴィヨンの妻』に収録されていますが、この短編集は「桜桃」だけではなく「オイオイ、親父!」という感じの作品のオンパレードです。
父の日の贈り物に、いかがでしょう。
ヴィヨンの妻
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太宰の絶筆は小説では「グッド・バイ」です。
グッド・バイ
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posted by 本読人 at 13:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月15日

「パルタイ」倉橋由美子

倉橋由美子さんが逝去されました。
パルタイ
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同じ1935年生まれということもあり、またデビューのきっかけがそれぞれの大学新聞絡みであったりもして、倉橋は大江健三郎と一時期比較されました。ちょうど実存主義の流行と重なって、大江をサルトル、倉橋をカミュに見立てるような読み方も流行ったりしました。。
しかし、僕にとって倉橋由美子は柴田翔と重なります(柴田も35年組です)。これは本当に個人的なことで、高校生の頃にやっていた文芸同人や読書会などでの体験によるものです。あの頃を思い出しています。
されどわれらが日々−
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倉橋由美子さんのご冥福をお祈りいたします。
posted by 本読人 at 19:26| Comment(2) | TrackBack(1) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月13日

「都市と光」石井リーサ明理

大学ではフランス文学を学んでいたのですが、パリが都市照明発祥の地とは知りませんでした。パリの街を、都市照明という視点から論じている目から鱗の一冊です。
今にして思えば、「都市照明と文学」というテーマで卒論も成立したような気がします。学生の頃に読んでいれば・・・。
口絵のカラー写真も、美しくて良いです。水曜社発行。
都市と光
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1927年リンドバーグが、スピリット・オブ・セントルイス号によって大西洋単独無着陸横断を成功させました。
その時に見た「パリの灯」は、どのようなものだったのでしょう。「都市と光」によれば、その頃(1925〜36年)エッフェル塔にはCITROENの文字が6色の電球によって描かれていたそうです。「パリの灯」は広告照明の時代に入っていました。
翼よ、あれがパリの灯だ
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posted by 本読人 at 17:07| Comment(5) | TrackBack(0) | 哲学・思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「コンチキ号漂流記」トール=ハイエルダール

堀江謙一、ヨットによる単独無寄港東西両回り世界一周達成(6月7日)記念(世界で2人目の快挙)、ということで・・・。
「コンチキ号漂流記」を初めて読んだのは、黄色い函が懐かしい筑摩の世界ノンフィクション全集でした。古代において南米からポリネシアに文明が伝播したという学説を証明するために、トール・ハイエルダールが筏での航海を行った記録です。実証の凄味を感じる名作ノンフィクションの一つです。でも、現在はハイエルダールの学説はあまり評価されていないようです。でも、凄い!
コンチキ号漂流記
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漂流といえば「十五少年漂流記」。ご存じ少年向けの冒険物語、僕も夢中になりました。新潮文庫版で波多野完治訳、1993年3月の改訂版です。
十五少年漂流記
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あっ、堀江さんは漂流したわけではなく、航海をしたのです。くれぐれも・・・。
posted by 本読人 at 12:47| Comment(5) | TrackBack(0) | 外国文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月11日

「いま、僧侶への道 学び・修行・実践」木精舎編輯所 編

瀬戸内寂聴さんの引退に因んで、僧侶になりたい人への実用書を紹介します。
もちろん僧侶になる予定のない人にも面白い本です。「そうか、こうやって僧侶になるんだ」と分かると、お坊さんがずっと身近な存在に感じられることでしょう。また、文化として僧侶を扱う本だけでは知ることの出来ない、ちょっと裏側な感じも楽しめます。
いま、僧侶への道
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僕が愛用している写経の教科書です。写経手本も付いていて、とても助かります。
わたしだけの般若心経読み書き手本
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posted by 本読人 at 14:58| Comment(4) | TrackBack(0) | 実用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月09日

「弥勒菩薩」

何よりも半跏思惟の居ずまいが美しいです。
この京都・広隆寺の弥勒菩薩像は、かつては漆が塗られ、さらに金箔が施されていたといいます。それらが剥がれ、木彫も修正されて現在の姿になったそうです。最初の神々しかったであろう姿はわかりませんが、虚飾を排し、後世に人の手を重ねたことで、本当の美に到達したのではないかと思います。右手の薬指が折られた事件、そしてその修復もまた、この仏像においては美に至るための決められた出来事であったように思われるのです。
弥勒菩薩
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対照的な立像なのですが、奈良・興福寺の阿修羅像もよいです。上体に比べてアンバランスな足で、しかしスーッと立っています。
阿修羅
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posted by 本読人 at 17:47| Comment(6) | TrackBack(0) | 画集・写真集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月06日

※続報(2)

久々の更新です。多忙な上に体調が絶不調でした。今日から少しずつ復帰です。
さて、これまで書き込んできた記事についての続報第2弾です。
3月7日UP「花岡ちゃんの夏休み」清原なつの 新しい単行本が出ているのでお知らせします。『清原なつの忘れ物box』と名付けられた、次の2冊です。
二十歳(ハタチ)のバースディ・プレート
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サボテン姫とイグアナ王子
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5月20日UP「集まって住む」元倉眞琴 この本を教えてくださった佐藤Kさんのブログ『まちなか生活向上委員会@三光建設計画部』の2005年6月3日の記事「まちづくり関連本、など 0002」に、佐藤Kさん自身が加わった調査をまとめた本が紹介されています。本の詳細については、ぜひ佐藤Kさんのブログの記事を読んでみてください。
エーゲ海・キクラデスの光と影
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なお、この本の内容に関わることについて佐藤Kさんが話してくれる勉強会が、千葉県の柏市にて行われます。全3回で行われる「集まって住む」をテーマにしたセッションの第1回目です。興味のある方はブログ『柏生活向上委員会』のBAO/BABB.Session01「集まって住む」をご覧ください。
posted by 本読人 at 21:29| Comment(2) | TrackBack(0) | ※本読人からみなさんへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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