「東葛映画祭」勝手に応援企画2005年10月14日(金)〜16日(日)、千葉県の5市(我孫子・柏・流山・野田・松戸)9会場で行われる「東葛映画祭」に因んで、しばらく僕の好きな映画絡みの本を紹介します。
「東葛映画祭」については、以下のURLでご覧ください。
http://www.tokatsufilm.com/何度となく映画化されていますが、今回こだわるのは1982年の東宝、今井正監督作品です。
これは1953年、同じく今井正監督による東映作品のリメイクです。ほかに「あゝひめゆりの塔」(1968年日活、舛田利雄監督、吉永小百合主演)などがあります。
原作は石野径一郎。太平洋戦争末期の沖縄での、ひめゆり部隊の悲劇を描いた作品です。
ひめゆり部隊については、以前
「ひめゆり平和祈念資料館 ガイドブック」に書いたので、ご参照ください。
主題歌はさだまさしの「しあわせについて」。うろ覚えですが「〜どうぞ過ちは 二度と繰り返さずに あなたはかならず しあわせになってください〜」という歌詞が印象に残っています。そして「〜風は移り気 身を任せてはいけないよ〜」と。
今、日本人は、移り気な風に身を任せてしまっているような気がします。危険な国になりつつあるような気がします。
「ひめゆりの塔」を忘れずにいたいと思います。
ひめゆりの塔

さて、1982年版の「ひめゆりの塔」には、女学生役で斉藤とも子が出ていました。この女優は中学生か高校生の頃からテレビに出ていて、NHKの少年ドラマなどで活躍していました。
それだけなら、どこにでもいる若手女優だったのですが、この人が僕にとって特別気になる存在だったのは、教育テレビの『若い広場』という番組の一コーナーを担当していたからです。それが「マイ ブック」という本を紹介するコーナーでした。このブログのタイトルも、そこから来ています。
斉藤とも子は当時十代半ば、もしくは後半の年齢だったと思うのですが、本を紹介する人達(多くは現役の作家達でした)と差し向かいで聞き手になっていたのです。このことは、僕にとっては驚異的なことでした。ほぼ同年齢だと思われる若者が、開高健に梶井基次郎の「檸檬」の話を聞いたり、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を井上ひさしに紹介してもらったり、そんなことをしていたのです。
この人は、将来、どんなになるのだろうか?! 驚くべき体験をしている十代の女優でした。
しかし若くして結婚したこともあってか、女優として花開く前にテレビや映画では見なくなりました。
その斉藤とも子を、最近テレビで見るようになりました。そして「きのこ雲の下から、明日へ」という本を書いていることを知りました。
東洋大学の大学院で学び、その修士論文で「原爆小頭症」の人々や家族の生活をまとめた。それを一冊にした本だといいます。
他の多くの日本の俳優達と違って、しっかりと「社会」と臍の緒が繋がっている女優なのだと思います。それには「ひめゆりの塔」に出た経験や、若くして一線の作家たちと本の話をしてきたことなどが関係しているのかもしれません。
きのこ雲の下から、明日へ

