2005年05月14日

「古い黒カバン」芦原修二

「短説特集」いかがだったでしょうか。今回はこれが最後になります。もちろん今後も時々作品を紹介しますし、いずれまた特集もしていくつもりです。
そして締めくくるのは、短説の提唱者である芦原修二さんです。作品はいろいろあるのですが、その代表作を集録する「古い黒カバン」を紹介します。まだ集められた作品は少しですが、いずれWeb上での芦原さんの短説作品集になると思います。
カバンは「短説の会 Official Web Site」にあります。直接いく人は、以下のURLで。
「古い黒カバン」

しかし僕にとって芦原さんは、なんといっても小説なのです。「びいどろ」は、日本文学史上の名作短編の一つです。
なんで日本の文壇と出版界は気がつかないのだろうか!
短編作品集『はるひ夢幻集』に集録されています。現在絶版。2005年5月14日現在、「日本の古本屋」に在庫確認しました。
「日本の古本屋」


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2005年05月11日

「子供のいる家」綾部有時・「とまどい」日向みなみ

子育て真っ最中の綾部有時さんの「子供のいる家」。日々の生活が書かせた作品といえるでしょう。
子供のいる家

日向みなみさんは、ホームページ「短説の世界」を開いて、自身の作品を公開しています。その中から、「とまどい」を紹介します。
とまどい

前回と今回、四者四様の作品、いかがだったでしょうか。短説はたった原稿用紙2枚ですが、確実に個性が表れるのです。
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2005年05月08日

「トカゲ」田中睦枝・「門限」福本加代

二回にわけて、4人の女性の作品を紹介します。読み比べてみてください。
まず田中睦枝さんです。田中さんは「短説の会」の講師でもあり、いくつもの名作を書いています。ここでは特に好きな「トカゲ」を紹介します。
トカゲ

福本加代さんは、ご自身でブログ「カトレア日記 ジジババ草紙」を開いています。短説の他に短歌も発表しています。その中から、ちょっと怖い短説「門限」をお楽しみください。
門限
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2005年05月05日

「円を描く少年」水南森

短説の定義は「原稿用紙二枚の小説」なのか、それとも「原稿用紙二枚の散文」なのか。後者を主張する作者が5月5日に短説のブログ「水南の森−短説BLOG」を始めました。「円を描く少年」はそこにアップされている作品です。
作者は、西洋的(キリスト教的)世界観で人間をとらえる「小説」に対して、日本的(禅的)世界観で「短説」を書こうとしています。そのために、すべてを見透かす神の視点はなくなり、人は景観に溶け込んでいきます。ついには「人の会話」も「鳥のさえずり」や「葉のざわめき」と同じという理由から、かぎ括弧も無くしてしまいました。
小説では不可能な「短説」の世界の一つです。
円を描く少年

作者は短説の優位性を主張しているのではなく、世界の違う二種類の散文学が日本において共存していくことを願っています。
そんな作者の過去の作品(短説・小説)はホームページ「水南の森」で読むことができます。こっちは、ちゃんとかぎ括弧がついています。
その中にホームページの共同運営者が「私短説」と名付けて、写真を撮るように描写した何作かの作品があります。旅行の思い出をアルバムに写真で残すように、短説で旅のアルバムを作った例です。
「旅の途中」
posted by 本読人 at 21:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月03日

「道程」吉田龍星・「鯉を釣る少年」道野重信

注目する短説作家の名作を、次々紹介していきます。
短説の全国組織「短説の会」は短説講師を数名選定しています。紹介する二人は、ともにその講師をつとめる作家です(先に紹介した西山正義さん、向山葉子さんも講師です)。お二人の「講師プロフィール」(『月刊短説』平成15年3月号)からコメントを抜粋しましょう。
吉田龍星さんは「自分と自分を取り巻く世界を理解し愛せるようになるために短説を書いています」
道程

道野重信さんは「執筆も会話と同じコミュニケーション」
鯉を釣る少年
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2005年05月01日

「盆まつり」向山葉子

前の記事でも書いたとおり、向山葉子さんの作品も「西向の山」でいろいろ読むことができます。全体に作品の質が高く、コンスタントに秀作を発表している書き手です。
中でも、僕は「盆まつり」を特に素晴らしいと思います。
方言の多用は、長い小説においては読みづらさに繋がってしまいます。しかし、原稿用紙2枚の短説では、方言は作品の雰囲気作りに役立ちます。そんなことも含めて、「盆まつり」は短説ならではの作品。これ以上長くても短くても成立しない、見事な短説作品だと思います。
「盆まつり」

だからといって、僕は短説を小説よりも優れていると考えているわけではありません。両者は、たとえば詩芸術において俳句・短歌と自由詩がともに存在しているように、散文学において共存するものなのでしょう。短説も小説も、それぞれに素晴らしいものです。
そこで、向山さんの小説も紹介したいと思います。「西向の山」に向山さんの小説のコーナーがあります。URLは次の通りです。
名作「カーマイン邪色」がアップされていないのが、ちょっと残念!
http://homepage3.nifty.com/masayoko/shousetsu.htm
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2005年04月28日

「キャッチボール」西山正義

「マイ ブック」では、短説が好評なので、気をよくして数回にわたり短説特集をしてみます。
先に「柵を越えて」(金子敏)を記事にした時に案内しました「短説の会オフィシャルホームページ」を作っている西山正義さんの作品を紹介します。
西山さんはいろいろな種類の作品を書いているのですが、僕が特に好きなのは「キャッチボール」に代表される家族モノです。文章が自然ですし、何よりも「愛」があります。
文学作品に「愛」があることは当然のような気がしますが、実際には現在の消費型文学世界は、「愛」のない作品で溢れています。そんな日本の文学世界の中にあって、作者の家族モノの短説には確かな存在感を感じるのです。
キャッチボール

西山さん短説は、西山さんと向山さん(次回作品を紹介します)のホームページ「西向の山」で読むことができます。短説以外にも小説など内容盛りだくさんのホームページです。
特に僕の好きな作品は「子どもをめぐる短説」のコーナーに集まっています。
「西向の山」
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2005年04月25日

「ホットケーキ」古川身江子

短説というのは文学形式の一ジャンルです。小説や詩、短歌というような分類の一つだと考えてみてください。ですから、そこではいろいろな種類の作品が生まれています。そんな中、詩的な短説を書いてもっとも成功している作家が古川身江子さんです。
短説は原稿用紙2枚という短さなので、詩的に書くと多くは散文詩になってしまいます。古川さんはただ一人、詩と短説の間に立つ幅10センチほどの塀の上で、かならず短説側に身を寄せながらステップを踏んでいる作家だといえるでしょう。
紹介する作品は、特に僕が好きな「ホットケーキ」です。
http://tansetsu.at.infoseek.co.jp/works/furukawa01.htm

古川さんの短説は、「風都市」という雑誌に掲載されたことがあります。「ホットケーキ」と「時計」という2作品です。下記URLが『風都市』主宰の瀬崎祐さんのページです。「瀬崎祐・詩の部屋」から入って「風都市 10号」を開くと、読むことができます。
http://www.geocities.co.jp/Bookend/8960/
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2005年04月14日

「太陽の子守歌」米岡元子

書籍にまとめられた個人の短説作品集は、まだまだ数少ないのが現状です。その中で、この作品集は間違いなく名作の一つでしょう。
障害を持つ我が子を育てた記録が、短説として刻々と表現されていきます。短説が持っている文字の可能性、言葉の力を感じる作品集です。
崙書房のホームページに見つけました。以下のURLから入って、既刊情報に行ってください。
http://www.ron-syobou.co.jp/

作者である米岡元子さんのホームページです。短説の他に小説もアップされています。
http://www.geocities.jp/yone_tamatebako/
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2005年03月23日

「柵を越えて」金子敏

原稿用紙二枚の散文、『短説』。たった二枚で何が書けるのか、と思った方、ぜひ読んでみてください。
中学を卒業し高校の入学式前の、エアポケットのような青春の一時。その一瞬を見事に描いています。
「柵を越えて」はインターネットで読むことができます。
http://tansetsu.at.infoseek.co.jp/works/kanako01.htm

『短説』については、いずれ詳しい説明を「※本読人からみなさんへ」で書こうと思っています。今はとりあえず「短説の会オフィシャルホームページ」のURLを書いておきますので、興味のある方は行ってみてください。
http://tansetsu.at.infoseek.co.jp/
posted by 本読人 at 10:29| Comment(8) | TrackBack(1) | 短説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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