http://www.sweetswan.com/daiei-2005/
〔有田里絵〕
都会には都会の闇があることに気付き始める終電の後
※田舎から出てきて、空を見上げることが多くなった頃がイメージされました。
〔ハナ〕
かあさんの手紙のせいで重くなる東京都指定生ごみ袋
http://www14.plala.or.jp/nemu31/
※「生ごみ袋」が重くなるような文面が、思い浮かびます。
〔望月暢孝〕
田舎出の少年の脳にこびり付きし都会の犬のあわれな交尾
※犬の交尾に、田舎と都会の違いを感じる感性。そしてそれが少年の脳にこびりつくということ。この少年の都会でのこれからが思われます。
〔ジテンふみお〕
それぞれの都合を乗せて地下鉄は定刻に出る ぼくは乗らない
※乗らない者には乗らない者の都合があって、しょせん地下鉄は乗らない者の都合は乗せられないのだ。そう思いたい。悲しさと強さの入り交じる歌です。
〔みうらしんじ〕
♪とんぼ/長渕剛
しあわせのとんぼが笑う東京でひとり気を吐く石原都知事
http://www.mnet.ne.jp/~miusin/
※おーい、山田くん。座布団一枚持ってきて!
〔のぶれば〕
ギロチンを落としたような都庁舎を中学生らが口開けて見ゆ
※上の句が強烈です。これから落ちるのではなく、落ちてしまってできた都庁舎なのですね。
〔本田瑞穂〕
あつまってきたひとびとを弔ってまたあつまって都は続く
http://singasong.sunnyday.jp/
※偶然ですが、〔みうらしんじ〕さんのところから、連句のようになっています。都内在住ではない僕ですが、僕もあつまり、弔い、弔われる一人であることは間違いありません。重い歌です。
〔紺乃卓海〕
夕刻の首都は微熱を帯び始め ぱちんぱちんと割れる風船
http://www.geocities.jp/xmqds750/
※「ぱちんぱちん」と割れる音は、自分の中から聞えてきます。