2005年10月31日

「002:色」題詠マラソン2005

今年も行われました、ネット短歌「題詠マラソン2005」。3〜10月で100のお題を詠もうという歌会です。とりあえず11月いっぱいを目標に、そこで出会った「気に入った歌」「気になる歌」をお題の順に紹介します。「題詠マラソン」の詳細は、下記のURLでご覧ください。
http://www.sweetswan.com/daiei-2005/

〔満八〕
引出の中に長年眠ってた色鉛筆を処分するとき

 ※その時の気持ちが、自分の中にも浮かんできました。

〔五十嵐きよみ〕
他者だけの世界の中へ踏み入れる足の爪から色づいてゆく
http://yaplog.jp/noma-iga/

 ※僕の場合、腰を引いてソーッと手を伸ばすので、手の爪から色づくだろうと思います。足の爪から色づく人だからこそ、「題詠マラソン」を始められるのですね。

〔植松大雄/SERENO〕
水色のハンカチのなかあなたごと忘れてかけてた球根ひとつ

 ※ハンカチではあっても「水色」に包む優しさ。

〔みうらしんじ〕
♪俺色にそまれ/米米CLUB
「俺色にそまれ」だなんてピンクチラシ配るあなたにいわれたくないわ
http://www.mnet.ne.jp/~miusin/

 ※ピンクチラシを配った経験はないのですが、そう言われたら「申し訳ない」というしかありません。僕も十分社会に染まってしまっています。

〔佐藤理江〕
中腹の桜古木に風吹きてひときはうすき色のはな散る
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~okiraku/

 ※古木と「ひときはうすき色」。美しい風情です。

〔倭 をぐな〕
封筒は夏色のもの選びしが切手の中の海はもう秋

 ※中の手紙の迷いを感じました。


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「001:声」題詠マラソン2005

今年も行われました、ネット短歌「題詠マラソン2005」。3〜10月で100のお題を詠もうという歌会です。とりあえず11月いっぱいを目標に、そこで出会った「気に入った歌」「気になる歌」をお題の順に紹介します。「題詠マラソン」の詳細は、下記のURLでご覧ください。
http://www.sweetswan.com/daiei-2005/

〔原田 町〕
おはようと言う声ためらう小一の女児にとって他人のわれは
http://yahiko.air-nifty.com/

 ※スタートの最初に「おはよう」を持ってきた爽快感。女児がためらう前に「他人のわれ」がかけた、「おはよう」の声が聞こえてきます。

〔柳子〕
変声期迎へし吾子はまだ青き声もてわれをオフクロと呼ぶ

 ※おそらく僕に対しても、そう感じた時が母にはあったのでしょう。

〔花詠み人〕
いま僕は 何をすべきか 「天の声」 聞いてみたくて 書に線を引く
http://fujihara.cocolog-nifty.com/

 ※「天の声」を聞くために「書」を開く真実にひかれました。

〔やまもとなおこ〕
映写機よ、まわれ 時の彼方からリリアン・ギッシュの声を聞かせて
http://circus.milkcafe.to/

 ※他の誰でもなく、リリアン・ギッシュに僕も一票。

〔謎彦〕
銃声が五百余名をちりぢりに奔らす西の半球もあり

 ※「西の半球」。そう、そうなんですよね。

〔月読亭羽音〕
歌え歌え!!血反吐の果ての声搾れ!!自慰と云わすな気迫を剥き出せ
http://d.hatena.ne.jp/ikinapage

 ※題詠マラソンをスタートする意気込みを感じました。

〔水須ゆき子〕
梅雨冷えの縁側にたまに落ちている亡き曾祖父の光る濁声(だみごえ)

 ※スタートということで、力の入っている歌も沢山ありました。いい意味で緊張感のある「声」の回。そんな中で「たまに」が、心の中にストーンときました。
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※続報(4)

4〜5月にかけて特集した「短説」ですが、勉強会を行います。以前に『続報(2)』で紹介した『BAO/BABB.勉強会』の第二弾「東葛からの直送文化」の12月16日です。「短説−原稿用紙2枚の世界」と題して行われます。興味のある方はご参加ください。詳細は下記で。
「BAO/BABB. Session02 東葛からの直送文化」

9月5日の「八重山の風と光」大塚勝久の記事で書いた、石垣出身のミュージシャン「やなわらばー」の歌「空をこえて 海をこえて」が、テレビ番組のテーマになっているそうです。番組はテレビ朝日系列の『ポカポカ地球家族』(東京では土曜夜6時30分)。
「やなわらばー オフィシャルホームページ」

9〜10月にかけて特集した「東葛映画祭」ですが、盛り上がったようです。下記の公式サイトは現在も続いているようです。
http://www.tokatsufilm.com/
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2005年10月27日

「納豆力」渡邉純子

さすがに大豆の栽培はしていないのですが、ときおり国産大豆を買ってきて、自家製納豆を作っています。子供の頃は炬燵で作っていた記憶ががあります。今は発泡スチロールの函を買ってきて、お湯を入れたペットボトルで温度調節しながらやっています。
さて紹介する「納豆力」は、そうして作った納豆のメニューを増やそうと購入した本です。レシピ中心なのですが、監修を医学博士の須見洋行さんが行っていて、健康面からの話もいろいろ書かれています。
納豆はエライ! と思える一冊です。
納豆力
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そして、納豆とは生産地繋がりで・・・。
梅干しと梅酒を作るための参考書として買いました。なんといっても両方が一冊に載っていることが賢いです。
さらに梅以外の果実酒の作り方も載っています。防災用に氷砂糖を保存しているのですが、年数が経って買い換えた時の古い氷砂糖の使い道に昔は困っていました。今はこの本を見ながら、リンゴ酒に使ったり、イチゴ酒に使ったり・・・。そういえばカリンやザクロもお酒にしたっけ・・・。役に立つ本です。
主婦と生活社の料理入門シリーズです。・・・梅酒作りや梅干し作りは食品加工であって、料理とは言わないだろう・・・。ちょっとしたレシピも載っています。念のため。
梅と果実酒入門
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2005年10月25日

「雑穀の書」大谷ゆみこ

前回に続いて、「食」にこだわってみました。
なにしろタイトルがそのものズバリ、「雑穀の書」です。たんなるレシピ集ではなく(レシピも載っていますが)、雑穀の雑学やらなにやら、とにかく縦横無尽に「雑穀」が語られている本です。
「大地から萌え出る穀物の実る姿を「命の根源」と呼んで大切に育て、炊いた穀物のことを「めし」と呼び(中略)、大地に感謝して食べてきた歴史は雑穀とともにあった」
と、作者の大谷ゆみこさん(食デザイナー・東京江戸川橋「つぶつぶカフェ」オーナー)は書いています。これはもう、雑穀の哲学です。
雑穀の書
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大谷さんの本をもう一冊。
『「食」から考える明日のライフスタイル』と、サブタイトルがついています。
スローライフ、スローフード
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今日は、隣の空き地から伸びてきたムクノキの実を収穫して、家の者たちと果実酒作りをしました。
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2005年10月24日

「チョコレート・ダイエット」楠田枝里子

夏には63キログラムあった体重が、59キログラムまで落ちました。いくつかのことを並行して行っていたのでチョコレートだけの成果なのかは不明ですが、それにしてもカカオの多く含まれているチョコレートは健康に良いようです。最初は甘くないチョコレートに違和感がありました。でも慣れてきた今ではカカオが70パーセント台くらいのチョコレートを、一番美味しく感じます。
ダイエットは別にしても、チョコレートと健康が結びつくというのは、ちょっと意外で面白いです。
チョコレート・ダイエット
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自分で作りたいという人には、加藤千恵さんの「チョコレートパーフェクトブック」。講談社のお料理bookのシリーズです。
今から腕をあげれば、来年の2月14日に間に合うでしょう。
チョコレートパーフェクトブック
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posted by 本読人 at 01:54| Comment(5) | TrackBack(1) | 実用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月18日

「新しい人よ眼ざめよ」大江健三郎

大江健三郎さん自身が、ただ一人選考委員になって「大江健三郎賞」が創設されることになりました。
その発表のさいに大江さんは「いつのまにか隅っこに追いやられた純文学を、少しでも中心に持って来たいのです」と言っています。この心意気を、僕は評価しています。
本当なら、こうした行動は作家自身だけではなく、日本中にいる純文学の読者等によって、あるいは作家自身であったにしてももっと職業作家的な色の薄い作家たちによってなされるべき仕事だと思います。それが大江健三郎さんによって取り組まれることがちょっと残念です。
その点、先の東葛映画祭などを考えると、映画の状況は、文学に比べてはるかに明るいものだと感じました。人々が映画を求めていることを、人々自身が行動に移しているのですから。
紹介するのは、大江さんの小説の中で、もっとも素晴らしいと思う作品「新しい人よ眼ざめよ」です。
新しい人よ眼ざめよ
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そして「新しい人よ眼ざめよ」を読むまで、大江さんの小説の中で一番素晴らしいと思っていた「個人的な体験」です。
個人的な体験
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posted by 本読人 at 20:06| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月13日

「和解」志賀直哉

「東葛映画祭」勝手に応援企画
2005年10月14日(金)〜16日(日)、千葉県の5市(我孫子・柏・流山・野田・松戸)9会場で行われる「東葛映画祭」に因んで、しばらく僕の好きな映画絡みの本を紹介します。
「東葛映画祭」については、以下のURLでご覧ください。
http://www.tokatsufilm.com/

みなさん「東葛映画祭」ついに開幕です。と、いうわけで紹介する映画は「CHARON」。僕が「東葛映画祭」を勝手に応援しようと思ったのはこの映画を見たからです。そしておそらく、この作品がなければ「東葛映画祭」もなかったことでしょう。
高橋玄監督。東葛北部をロケ地に、一人の女と、その女を探し求める二人の男を描いています。ストーリーは詳しくは書きません。ぜひ、観てください。「東葛映画祭」でも16日18時に柏のアートコンプレックス「MONAIZO」で上映予定です。

「CHARON」の中で、女を探す男の一人は小説家という設定です。実際に東葛北部に位置する我孫子市はその昔、北の鎌倉といわれて白樺派関係の作家などが住んでいました。その一人志賀直哉の作品で「和解」を紹介します。
自分と父との和解を描いた名作短編は、自分の亡くなった児のことから始まっています。
「この七月三十一日は昨年生れて五十六日目に死んだ最初の児の一周忌に当っていた。自分は墓参りの為め我孫子から久し振りで上京した」
この時代の小説には、風土がいきていました。
「CHARON」もまた、風土がいきている映画です。
和解
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ご当地ものという括りで・・・。
「本当に、何となくだった。梶原ピノリは、スカイプラザ屋上の金網を上ろうとしていた」
「ピノリの日々」水南森

いよいよ迫ってきました。勝手に応援企画も今回が最後です。
まだまだ紹介したい映画は沢山あるのですが、それは来年にとっておきましょう。
posted by 本読人 at 22:53| Comment(9) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月11日

「オードリー・ヘプバーン 素敵な写真集」

「東葛映画祭」勝手に応援企画
2005年10月14日(金)〜16日(日)、千葉県の5市(我孫子・柏・流山・野田・松戸)9会場で行われる「東葛映画祭」に因んで、しばらく僕の好きな映画絡みの本を紹介します。
「東葛映画祭」については、以下のURLでご覧ください。
http://www.tokatsufilm.com/

前回ちょっと書いた、社会と臍の緒が繋がっている俳優。オードリー・ヘプバーンもそんな一人です。それはもうオードリー・スタイルというような、生き方の種類になっていると言ってよいでしょう。
主演映画は「ローマの休日」や「マイ・フェア・レディ」などで、よい作品なのですが、僕の基準ではかならずしも名作とはいえないものばかり。それなのに、常に一番気になる女優の中に入っているのが、オードリー・ヘプバーンなのです。
近代映画社から出ている、たぶん現段階で最新の写真集「オードリー・ヘプバーン 素敵な写真集」を紹介します。
オードリー・ヘプバーン素敵な写真集
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主演映画の原作を一つ紹介したいと思ったのですが、難しいですね。この頃の商品的な映画は、原作を忠実に映画化した作品というよりも、役者を輝かせる原作を見つけてきて映画化という感じのものが多いので・・・。
「ティファニーで朝食を」は、いちおう原作本なのですが、そういうわけで、あまり大事にされていない原作です。トルーマン・カポーティ著、龍口直太郎訳。
ティファニーで朝食を
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ようするに今回は、オードリー・ヘプバーンを紹介したかったわけです。
学生最後に年に、スペイン広場に行ってアイスクリームを食べました(それだけの旅ではなかったけれど・・・)。あの頃が懐かしい。
posted by 本読人 at 23:29| Comment(9) | TrackBack(0) | 画集・写真集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月08日

「ひめゆりの塔」石野径一郎

「東葛映画祭」勝手に応援企画
2005年10月14日(金)〜16日(日)、千葉県の5市(我孫子・柏・流山・野田・松戸)9会場で行われる「東葛映画祭」に因んで、しばらく僕の好きな映画絡みの本を紹介します。
「東葛映画祭」については、以下のURLでご覧ください。
http://www.tokatsufilm.com/

何度となく映画化されていますが、今回こだわるのは1982年の東宝、今井正監督作品です。
これは1953年、同じく今井正監督による東映作品のリメイクです。ほかに「あゝひめゆりの塔」(1968年日活、舛田利雄監督、吉永小百合主演)などがあります。
原作は石野径一郎。太平洋戦争末期の沖縄での、ひめゆり部隊の悲劇を描いた作品です。
ひめゆり部隊については、以前「ひめゆり平和祈念資料館 ガイドブック」に書いたので、ご参照ください。
主題歌はさだまさしの「しあわせについて」。うろ覚えですが「〜どうぞ過ちは 二度と繰り返さずに あなたはかならず しあわせになってください〜」という歌詞が印象に残っています。そして「〜風は移り気 身を任せてはいけないよ〜」と。
今、日本人は、移り気な風に身を任せてしまっているような気がします。危険な国になりつつあるような気がします。
「ひめゆりの塔」を忘れずにいたいと思います。
ひめゆりの塔
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さて、1982年版の「ひめゆりの塔」には、女学生役で斉藤とも子が出ていました。この女優は中学生か高校生の頃からテレビに出ていて、NHKの少年ドラマなどで活躍していました。
それだけなら、どこにでもいる若手女優だったのですが、この人が僕にとって特別気になる存在だったのは、教育テレビの『若い広場』という番組の一コーナーを担当していたからです。それが「マイ ブック」という本を紹介するコーナーでした。このブログのタイトルも、そこから来ています。
斉藤とも子は当時十代半ば、もしくは後半の年齢だったと思うのですが、本を紹介する人達(多くは現役の作家達でした)と差し向かいで聞き手になっていたのです。このことは、僕にとっては驚異的なことでした。ほぼ同年齢だと思われる若者が、開高健に梶井基次郎の「檸檬」の話を聞いたり、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を井上ひさしに紹介してもらったり、そんなことをしていたのです。
この人は、将来、どんなになるのだろうか?! 驚くべき体験をしている十代の女優でした。
しかし若くして結婚したこともあってか、女優として花開く前にテレビや映画では見なくなりました。
その斉藤とも子を、最近テレビで見るようになりました。そして「きのこ雲の下から、明日へ」という本を書いていることを知りました。
東洋大学の大学院で学び、その修士論文で「原爆小頭症」の人々や家族の生活をまとめた。それを一冊にした本だといいます。
他の多くの日本の俳優達と違って、しっかりと「社会」と臍の緒が繋がっている女優なのだと思います。それには「ひめゆりの塔」に出た経験や、若くして一線の作家たちと本の話をしてきたことなどが関係しているのかもしれません。
きのこ雲の下から、明日へ
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posted by 本読人 at 00:20| Comment(2) | TrackBack(1) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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